神々の頂点に立つ最高神は、数多の宝石を持っていた。 幾百幾千もの時を経て集められたそれらは、ついに、最高神の手から零れ落ちた。 遙かな天の高みから落ちた宝石たちは、大地にぶつかり細かく砕け散った。 そして――その石の欠片ひとつひとつが、それぞれ、人間となった。 今も、神の愛した原石は、人々の中で眠り続けている。 |
とある世界の物語。
神話から遠く時が過ぎ、人々が国に集まり、
豊かな自然の合間に 城や街を築いて暮らすようになった時代――。
グロリア王国の中心地・王都グルスペンナに、ひとつの少年盗賊団が名を轟かせはじめていた。
貴族の館に忍び込み、富や宝石を奪い去る、
その名も、《
出現からおよそ1年、王都を警備する「警衛隊」も手をこまねく程の手練れである。
……のだが。
そんな《闇夜の紅星》団の一人、少年盗賊フレイスは、
間抜けな失敗により警衛隊に捕まってしまっていた。
盗みによる罪は重い。
たとえ少年であろうとも、ひとたび捕まってしまえば極刑である。
いよいよ処刑されるというその日、
処刑台からの逃亡をもくろむ少年は、1人の少女に出会う。
そして 盗賊たちは、
王国をゆるがす事件に巻き込まれてゆくのだった――。